【4369】トリケミカル 2026年5月

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結論:半年保有なら「条件付き買い」。ただし、今すぐ大きく買う銘柄ではありません。

私の判断は、トリケミカル研究所(4369)は良い会社だが、現在株価3,750円前後では“割安感は薄い”。買うなら、5月29日予定の1Q決算を確認してから、または3,400〜3,500円台への押し目で買いたいです。

半年保有の投資判断としては、
「小さく打診買いは可。ただし本格買いは決算通過後・押し目待ち」
が一番現実的です。


1. 会社の中身:半導体向け高純度化学材料のニッチ企業

トリケミカルは、半導体製造用の高純度化学化合物を扱う会社です。主力はHigh-k、Metal、Etching向け材料などのSi半導体向け製品で、半導体製造プロセスの高度化に乗るタイプの会社です。

この会社の魅力は、単なる汎用化学メーカーではなく、先端ロジック、DRAM、AI半導体、台湾・韓国・中国の半導体投資に連動しやすい点です。会社側も2027年1月期の事業環境として、AI用途を中心にロジック半導体向けが好調、DRAMは高稼働継続、南アルプス事業所の稼働・能力向上、台湾子会社の出荷増を掲げています。


2. 財務状況:かなり健全。ただし成長投資でキャッシュは使っている

2026年1月期の実績は良いです。売上高238.83億円、営業利益59.02億円、経常利益70.90億円、純利益55.15億円で、売上高は前年比26.3%増、営業利益は12.3%増、純利益は11.1%増でした。

特に評価できるのは、**営業利益率が約24.7%**あることです。これは化学メーカーとしてはかなり高い水準です。高付加価値の半導体材料メーカーとして評価される理由はここにあります。

財務面も強いです。2026年1月期末の総資産は472.74億円、純資産は361.49億円、自己資本比率は76.5%です。借入に過度に依存している会社ではなく、財務の安全性は高いです。

一方で、投資キャッシュフローは70.54億円の支出でした。南アルプス事業所などの設備投資が主因です。営業キャッシュフローは37.95億円のプラスなので問題は大きくありませんが、今は成長投資局面で、短期的にはキャッシュが外に出やすいフェーズです。


3. 今期見通し:売上は伸びるが、利益成長は弱い

ここが一番大事です。

会社予想では、2027年1月期は売上高270億円、営業利益60億円、経常利益63億円、純利益46億円です。売上高は13.1%増ですが、営業利益は1.7%増にとどまり、経常利益は11.1%減、純利益は16.6%減の見通しです。

つまり、事業環境は悪くないのに、今期は利益が伸びにくいということです。理由は、原材料費高騰、販売単価下落、持分法適用会社SK Tri Chemの減益見込みなどです。会社資料でも、原材料費高騰の影響継続、SK Tri Chemの材料高騰・販売単価下落による減益見込みが明記されています。

これは株価にとって少し重いです。株は「良い会社」だから上がるのではなく、市場予想を上回る利益成長が見えると上がるからです。


4. 株価・バリュエーション:良い会社だが、今は安くない

5月27日時点の株価は3,750円、時価総額は約1,219億円です。会社予想EPS141.55円に対する予想PERは26.49倍、PBRは3.37倍、予想配当利回りは0.93%です。

この水準は、割安株ではありません。むしろ、半導体材料の成長期待をすでにかなり織り込んでいます。

アナリストコンセンサスは「買い」ですが、平均目標株価は3,845円で、現在株価3,750円からの上昇余地は約2.5%しかありません。

ここが重要です。
プロの目標株価ベースでは、すでにかなり適正価格に近い。

半年で大きく上がるには、次のどれかが必要です。

  1. 5月29日の1Q決算が市場予想を大きく上回る
  2. 今期会社予想が上方修正される
  3. 半導体材料株全体に資金が流入する
  4. 台湾・DRAM・AI関連需要がさらに強く評価される

5. 競合比較:収益性は高いが、PBRも高い

比較対象としては、ステラケミファ、関東電化工業、大阪有機化学、ADEKAなどが近いです。厳密には製品領域は違いますが、半導体向け化学材料・特殊ガス・電子材料という意味で比較できます。

会社特徴PER/PBRなど
トリケミカル半導体向け高純度化学材料、High-k・Metal・Etching材料予想PER26.49倍、PBR3.37倍、ROE16.28%、利回り0.93%
ステラケミファフッ素化学、半導体・電池材料関連予想PER26.17倍、PBR1.86倍、ROE6.61%、利回り2.47%
関東電化工業特殊ガス、フッ素系技術、半導体・FPD用特殊ガス予想PER28.1倍、PBR2.64倍、ROE5.47%、利回り1.08%
大阪有機化学電子材料、特殊アクリル酸エステルなど予想PER25.62倍、PBR2.22倍、ROE14.48%、利回り1.41%
ADEKA総合化学、高純度半導体材料も展開半導体材料、回路形成材料、後工程樹脂材料を展開

トリケミカルは、ROEが高く、成長期待もあるので高PBRはある程度正当化できます。ただし、PBR3倍台は高めです。半年投資で買うなら、株価上昇余地がしっかり残っている場面で入りたいです。


6. 外部環境:半導体市況は追い風

半導体全体の環境は強いです。SEMIは、AIアクセラレーター、高性能コンピューティング、先端モバイル向け投資を背景に、ファウンドリー・ロジック向け装置市場が2026年、2027年も成長すると見ています。

また、SEMI日本語資料では、HBM需要やAI・データセンター需要により、DRAM装置売上は2025年に15.4%増、2026年に15.1%増、2027年に7.8%増と予想されています。

さらにSEAJも、2026年の半導体市場はデータセンター投資が牽引し、メモリー製品とロジック製品の高成長が期待されるとしています。

これはトリケミカルには明確な追い風です。会社自身も、ロジック向けはAI用途を中心に好調、DRAMは高稼働継続と説明しています。


7. 半年後の株価シナリオ

現在株価を3,750円前後として、半年程度の保有なら私はこう見ます。

シナリオ条件想定株価
強気1Q決算が良好、利益率改善、上方修正期待、半導体材料株に資金流入4,200〜4,700円
中立売上は順調だが利益率は会社予想並み、材料出尽くし3,500〜4,100円
弱気原材料高、SK Tri Chem減益、1Q低調、半導体株の調整3,000〜3,300円

私の中心シナリオは、3,600〜4,100円程度です。つまり、現値からの上昇余地はありますが、かなり強い決算材料がないと大きな値幅は取りにくいと見ます。


8. 投資判断

判定:条件付き買い

ただし、3,750円近辺で全力買いはしないです。

理由ははっきりしています。

良い点は、半導体材料の成長テーマに乗っていること、財務が強いこと、営業利益率が高いこと、台湾・AI・DRAM関連の追い風があることです。

悪い点は、今期の会社予想が純利益16.6%減益であること、原材料高とSK Tri Chem減益が重いこと、PER26倍台・PBR3倍台で安くないこと、アナリスト平均目標株価が3,845円で現値からの上昇余地が小さいことです。


私ならこうします

まだ持っていないなら:
5月29日の1Q決算前に大きく買うのは避けます。どうしても欲しいなら、100株だけ打診買い。決算で売上・営業利益率・台湾向け出荷・SK Tri Chemの見通しを確認してから追加します。

買い水準:
3,400〜3,500円台なら買いやすいです。3,300円近辺まで下がれば、半導体市況が崩れていない限りかなり魅力が出ます。

売り・利確水準:
4,200円を超えてきたら一部利確を考えます。4,500円以上は、上方修正がない限りかなり期待先行です。

損切り目安:
3,200円割れ、または1Q決算で売上成長鈍化・利益率悪化が明確なら撤退を考えます。

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この記事を書いた人

英語、登山、旅行、考えること

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