映画 ラストマイルを映画館で見てきました。
邦画はなるべく映画館で観ないようにしているのですが。
(テレビでも見れるのにと、なんだか料金がもったいない気がするのです。映画料金は2000円もする!)
しかし、倉庫・物流・流通が舞台となる映画ということで珍しく、物流業界に身を置くものとして、これは見たいなと思い、映画館で見てきました。
事前に見た人からは、アンナチュラルやMIU404の流れを汲んだ内容だということを聞いており、わたしは全く前提知識がないので、どうなのだろうと思いましたが、とても楽しんでみることができました。
まあまあ骨太のストーリーで、資本主義社会を考えることができるような内容でした。
アンナチュラルやMIU404の内容も入っているようだったけれどもわたしにはわからず、内輪話をしているようで情報としては、不要でただうるさいだけだったな・・・と感じた。
俳優陣は大変に豪華であったけれど。満島ひかり、岡田将生、すばらしかったな。二人ともかっこいい。俳優って、見ていてよいものだなあと思う。
映画の舞台は明らかにAmazonで、Amazonの巨大なシステムの中に飲まれていく人たちを描く物語。
人の生活を豊かにする一方で、働く人は追い詰められ一人で抱え込み、現場の倉庫・配送に携わる人は疲弊していく。映画の最後には「今がつらい人は相談しましょう」みたいなテロップがあった。
印象に残ったのは、ディーンフジオカの、「俺は、会社のポリシーに従っただけだ」という言葉。
そうなのだよね、資本主義社会なので。
その言葉はアンナ・ハーレントの「エルサレムのアイヒマン」を思い起こさせる。
ナチの幹部であったアイヒマンは第二次世界大戦後に処刑されるが、その裁判でその人は、善良な市民であり、その人はただ上の指示に忠実に従っただけであるように見えた、という内容。
その人は、ただ自分の仕事をしただけ。自分の仕事をすることは、素晴らしいことだけれども。
“This is my responsibility”
“This is my duty”
そう、仕事だからやるのだ。それを、疑うこともなく。
個人としては自分の仕事をやっていただけでも、それが巨大な資本主義のなかではどのような影響を及ぼすのか。
私たちは巨大な渦の中にいる。そして、誰もそれを止めることができない。
だって、走り続けなければならないから、資本主義は。
どんなことがあっても物流を止めない、ベルトコンベヤーを止めない、株価を下げてはいけない。
映画では、最後には抵抗をするけれども、だからと言ってなにが変わるわけでもないのだ。
でも、こういう疑問を投げかけること、それが大きなうねりとなっていくのだと思う。
たとえ今は小さな一歩でも、それが何年後、何十年後に変わる力となるのではないだろうか。
今あることがすべて、正しいなんてことはない。おかしいものはおかしい。多分そうなんだ。
それにしても、物流業界ね。物流は、ライフラインであり、大変な肝であるけれども、自分が携わっているのはほんの、ほんの、一部である。いつか、全体を見ることができるようになるのだろうか。物流も、それこそ大変な
幼少期を海外で過ごした友人が言っていた「海外から物が到着することの喜び」。
それは、大変にうれしいものであったらしい。遠い日本の国から、日本のものが届く素晴らしさ。
たしかに、本当にすごいことだ。どこにいても荷物・貨物が届く。
しかし、そんな豊かさを追求した先にあったものとは何か?
そんなこんなで、「人新生の資本論」by 斎藤 幸平 を読み返したくなりました。
どんどんつながる世界に、ネットワークに。もろ手を挙げて喜んでいるだけでいいのか。そんなことを考えてた映画でした。見てよかった。
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