【読書感想】武器としての「資本論」白井聡

コテンラジオでマルクス・エンゲルスの回を聞きました。そして、資本論について興味がわいてきて、読みました。
なんだか、すごい内容だった。労働者って被害者なのか?と思えてしまう内容。
でも、なんだか「こういう構造だから、資本主義だからなのだ」ということですとんと落ちたというか。

なぜ、成長しなければならないのか
なぜ、会社は大きくならなければならないのか
なぜ、ブルシットジョブがあるのか
なぜ、努力することが尊いのか
なぜ、購買意欲をそそられる広告に踊らされるのか
なぜ、毎年目標を立てなければならないのか

それは、資本主義だからです。そういうシステムの中で生きているからです。
そのことを前提としている。その巨大な波の中で生きていて、それこそ神の見えざる手なのかも。

でもさ、資本主義であれ何であれ、人は社会システムの中で生きるもの。それが何であろうと批判はあるしネガティブな面はあるし、完璧ではないし、適合できる人そうではない人がいる。そういう時代なの。これが、別の時代だったら別のシステムがあり、そういうものなの。
まずは自分がそのようなシステムの中で生きていること、仕組みの中で成り立っていること、仕組みを理解すること、そうだね?そして、それがわかっていてもわかっていなくても、人間は動かされ続ける、村上春樹が言うように、「踊り続ける」のであるかな・・・さて、私たちは何によって動かされているのか?それは資本主義という大きな、大きな、なにか・・・そう、大きな何かなのです。

いまさらこんなことに気が付いた、そのことをマルクスは明らかにしていた。
こんなに苦しいのは資本主義だから。でも、「資本主義だから仕方ない」ではないのだ。
だからこそ、ここで思考停止してはいけないよな。

この本によると、資本論に書いてあるのは…「AIが発達しようと、人間の仕事はなくならない。なぜなら、資本というのは増殖し続けなければならないから、AIが仕事をこなして人間の手が空いたとしても、資本を増殖するために人間は新しい仕事をするから」ということのよう。
この視点にはものすごく納得。今まさに思っている。
こんなにAIや自動化ができているのに、なぜ会社では、人が足りないといっているのか。てんやわんやなのか。自動化できるでしょ、って思っていましたが。
「仕事ができる人のもとにはたくさん仕事が集まってきて、さらに忙しくなる」とビジネス書などで書かれているが、なぜなら資本主義だからだ、ということはできるだろうか?
仕事は、作業は、業務は、それ自体が増殖する。資本主義という枠組みの中で。

こんなことを前提に、人は話をしていたのか?と。わかっていたのか?と。学校で習ってきたはずのないようでも、切実感を伴うと違う実感となります。

それを思うと、資本というのは、なんだか生命体のようです。それ自体が、種を残そうとしている増殖しようとしているという、「利己的な遺伝子」に通じるところがあると感じました。なんか、ほんと社会システムってすごい・・・

さて、著者は本の中で「打倒、新自由主義」を掲げています。自由主義とは、市場競争を万能視する考え方のようですが。

「私はスキルがないから、価値が低いです」と自分から言ってしまったら、もうおしまいです。それはネオリベラリズムの価値観に侵され、魂までもが資本主義に包摂された状態です。そうではなく、「自分にはうまいものを食う権利があるんだ」といわなければならない。人間としての権利を主張しなければならない。

それに立ち向かうには、人間の基礎価値を信じることです。「私たちはもっと贅沢を享受していいのだ」と確信することです。贅沢を享受する主体になる。つまり豊かさを得る。私たちは本当は、誰もがその資格を持っているのです。しかし、ネオリベラリズムによって包摂され、それにならされている主体はそのことを忘れてしまう。この忘却の強制こそ、ネオリベラリズムの最大の達成だったのかもしれない。
新自由主義は単なる政治経済的なものなのではなく、文化になっているということを強調してきました。それは、資本主義文化の最新段階なのです。その特徴は、人間の思考・完成に至るまでの全存在の資本のもとへの実質的包摂にあります。したがって、そこからわが身を引きはがすことが資本主義に対する闘争の始まりであるとみなされなければなりません。

私の考え方にも、新自由主義的な考え方もあることを発見し、そしてそれにより苦しんでいるということもよく分かった。ちきりんがすごーい!なんてファンを公言しているけど、この人も自身でも言っている通りバリバリの新自由主義者だからね。ここで納得するのもどうなのよ、というところかしら。今一度自分の立ち位置も確認したくなったし。

いずれにしても、生きやすくなればいいよね、と思いましたのさ。

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この記事を書いた人

英語、登山、旅行、考えること

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