最近、「君子盟(くんしめい)」という中国ドラマを観ました。
この作品を観るために、わざわざU-NEXTに加入してしまいました。きっかけは、中華ドラマ雑誌か何かで記事が掲載されていたこと。
それに、「話数が少ない」というのも大きな理由の一つでした。全26話で、1話は約40分。中国ドラマとしてはかなりコンパクトな作品です。普段、中国時代劇といえば50話超えが当たり前。そのため、「軽い気持ちでサクッと観られるのでは?」という期待がありました。ちょうど何か新しいものを観たいけど、あまり体力を使いたくないな…というときにぴったりだったのです。
さて、「君子盟」は一言で言えば“地味”。私がこれまで観てきた、中国の武侠や仙侠ドラマに比べると、比較的静かです。華やかな衣装も、ダイナミックなアクションも出てきません。物語は書斎や街角など、限られた空間で進行し、色彩も全体的に落ち着いています。派手な演出に慣れていると、最初はちょっと物足りなさを感じるかもしれません。でも逆にその“地味さ”が、この作品の味なのかもしれないと思い直しました。
主人公の一人は「貧乏書生」という設定なのですが…正直、全然“貧乏”に見えない(笑)。というのも、この役を演じる俳優さんがとにかく整いすぎていて、ただ立っているだけで画面が映えてしまうんです。顔の主張が強いというか、もはや顔が強すぎる。貧乏な書生という設定を完全に凌駕してしまっていて、つい画面に釘付けになってしまいました。
ストーリーは前半と後半で色合いが大きく異なります。前半は推理もののような構成で、事件の謎を追いかける静かな展開。一方、後半になると急にスピリチュアルな要素が顔を出し始めます。登場人物の出生の謎や、妖術めいた存在が出てきたりして、「え、急にファンタジー?」と驚きつつも、そこが意外と面白かった。個人的には後半の展開の方が好みでした。
とはいえ、全体を通して「地味」という印象は変わりません。物語のテンポもゆっくりで、時折、展開が間延びする箇所もありました。正直に言うと、ところどころ早送りをしたシーンもあります。でも、そんな風に少し力を抜いて楽しめるというのも、このドラマの良さなのかもしれません。
派手なアクションも、派手な恋愛もない。それでも、登場人物たちの繊細な感情のやりとりや、淡い信頼関係の描写が、じわじわと効いてきます。観終わってすぐに「面白かった!」と叫びたくなるような作品ではないかもしれません。でも、不思議と記憶に残る、そんな静かな余韻を持つドラマです。
「君子盟」は、観る人を選ぶ作品かもしれません。でも、疲れたときや、何かを“気軽に”観たいとき、美しい顔を拝みたいときには、ぴったりの一本です。全26話という短さも含めて、ちょっとした隙間に差し込める作品として、記憶に残りそうです。U-NEXTに加入したこと、後悔は…していないと思います(笑)。
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